備忘録 朝焼けは汚濁の乱反射

本質を視る R-18 (作家の執筆活動と作品の公開の権利を侵害したアメーバ、作家の執筆活動と作品の大成を阻害したPeing、作品を侮辱しかつ本来と異なる形での公開を余儀なくさせたTwitterJPに対し、遺憾の意を示すと共に厳重に抗議いたします。)

ひと口汚濁「ゾゾコーヒー」

冷え切った安アパートの一室で、間の抜けたインターホンが鳴る。
想い人を待ち続けているかのような僕は、一瞬で現実に引き戻された。

 

「宅急便です」としゃがれた声の配達員がスピーカー越しに伝える。
ガスコンロのツマミを回して、玄関へ。
男とのやり取りを卒なくこなし、小さい段ボール箱を受け取る。

 

「ありがとうございます。」

 

伝えた僕の不気味な口元の緩みをごまかせた自信はあまりない。
鍵を閉めて、早速カッターの刃を突き立てた。

 

鋭利な刃先が封を開いていくたびに漏れ出るのは。
喜び。歓び。悦び。
パンドラの箱に詰められた災厄など些事に値する幸福が、その中にあったのだ。

 

丁寧に封を切り終えた僕は、欲望のままに開け放ち、その中身を取り出した。

 

『厳選!ゾゾコーヒー!』
『至高なるネコ・ZAWAの排泄物から見出された黒き宝石』
『あの白き宝石ゾゾケフィアと対をなすとも語られる珍味』
酵素マエザーゼが織り成した、淫靡な香りが躰に染み付く』

 

高級感のある外装に刻まれた文言を、一言一句違わず、読み上げる。

 

ヤカンが甲高く鳴き始めれば、負けじと声を張り上げる。

 

喉奥が、その一杯がもたらす悠久の安息を。

 

悦びのままに、求めているのだから。